【SDGs169のターゲット】3-2. 新生児および5歳未満児の予防可能な死亡の根絶

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「3. すべての人に健康と福祉を」の13個のターゲットのうち、「3-2. 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する」について見ていきましょう。
国・地域の医療・衛生環境を端的に示す新生児死亡率
新生児死亡率はその国・地域の医療環境や衛生環境を表しています。私たちが暮らす日本の新生児死亡率は、世界銀行によると2019年時点で1,000人あたり0.9人となっており、世界で最も死亡率が低く衛生的で安全な国といえます。ちなみに、世界平均は2019年時点で1,000人あたり17.5人です。一方で、サブサハラ・アフリカ地域(サハラ砂漠以南のアフリカ地域)は2019年時点で1,000人あたり27.5人であり、世界平均を引き上げてしまっている地域といえます。世界全体においても、サブサハラ・アフリカ地域においても、新生児死亡率の推移は改善傾向にありますが、新興国を中心にまだまだ改善の余地が大きい状態にあります。
新生児死亡率より高い5歳未満児死亡率
5歳未満児死亡率は、新生児死亡率と比べると高くなります。先ほどと同じく世界銀行によると2019年時点で日本の5歳児以下死亡率は1,000人あたり2.5人、世界平均37.7人、サブサハラ・アフリカ地域は75.8人です。1990年時点ではそれぞれ日本が6.3人、世界平均が93人、サブサハラ・アフリカ地域が178.5人であったため、新生児死亡率同様、全体としては改善傾向にあります。新生児死亡率とあわせて考えると、5歳未満児死亡の約半数が新生児死亡にあたることがわかります。
子どもの主な死因、死亡率を引き下げるための世界的な取組みの重要性
新生児を含む5歳以下の子どもの主な死因は、下痢やマラリア、敗血症などです。大半が現代の技術により予防・治療が可能であるにもかかわらず、生まれた地域が貧しいことから医療処置を受けられずに亡くなっています。サブサハラ・アフリカ地域、南アジア地域などの貧しい地域では、病院で出産できない・出産時に医療従事者の立ち合いがないといったケースが珍しくありません。
今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延により、世界全体の公衆衛生の大切さが再認識されています。貧しい地域の衛生環境を整え、医療従事者を育成することは、長期的には豊かな国の安全を守ることにもつながります。SDGsの達成に向けた取組みは、引き続き重要性を増しています。