【SDGs17のゴール】9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGs(持続可能な開発目標)17のゴール(目標)。その項目の9つ目に掲げられているのが「産業と技術革新の基盤をつくろう」です。SDGsでは、2030年までに強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図ることを目指しています。
SDGsが目指す2030年までに「産業と技術革新の基盤を作ろう」~現状認識~
国や地域の経済成長、並びに、個人の生活の質を高め、持続的な向上を達成するためには、水、電力や、道路や情報通信、技術、衛生施設といった、生活と産業を支える基盤(インフラ)の整備・維持が重要です。しかしながら、新興国の多くは、まだインフラ整備が十分でなく、また、強靭とは言い難い(自然災害発生後には、その復旧に時間がかかる)ため、これらの整備・強化が大変重要となっています。
また、一国の経済成長には、製造業を中心とした産業化の推進が重要です。そのためには、水、電気、通信や投資環境などを整備し、その上で、イノベーションが創出される基盤をつくり、生産プロセスに取り入れることで、生産性の向上やエネルギー利用の効率化を促進し、産業の多様化や付加価値創造、並びに、持続可能な産業化を推進していくことが必要となります。
また、産業と技術革新の基盤として、上記に挙げたインフラだけではなく、金融へのアクセスも必要不可欠です。国連によれば、2018年時点で、新興国における金融サービスにアクセスできる中小企業の割合は35%程度に止まります。
SDGs「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」に紐づけられる8つのターゲット
SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」のターゲットは以下の8つになります。
9-1 | すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。 |
9-2 | 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。 |
9-3 | 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。 |
9-4 | 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 |
9-5 | 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。 |
9-a | アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。 |
9-b | 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。 |
9-c | 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。 |
「リバースイノベーション」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。これは、主にインフラが未整備である新興国だからこそ生まれた、必要最低限の機能を低価格で提供する革新的な製品やサービスを指します。近年、これらの製品やサービスが、対象エリアを広げ、新興国のみならず先進国にも展開され、新たなマーケットを開拓するという事例も出始めています(例:スマホで心電図・胎児エコー検診が出来るシステム、銀行口座がなくても低コストで送受金が出来るシステム等)。こういった世界的な試行錯誤を伴う動きが目標達成に向けた大きな第一歩となるのです。