【SDGs17のゴール】7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに

SDGs(持続可能な開発目標)17のゴール(目標)。その項目の7つ目に掲げられているのが「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」です。SDGsでは、2030年までにすべての人々が安価で信頼できる持続可能なエネルギーへのアクセスを確保することを目指しています。クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)は、近年とくに注視されている気候変動対策の一環としても、非常に重要な意味を持つ分野です。

SDGsが目指す「クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)」とは

「クリーンエネルギー」とは、二酸化炭素(CO2)をはじめとした温室効果ガスなどの有害物質を排出しない、あるいは排出量が少ない、文字通り「クリーン」なエネルギーのことです。

石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料の代替として、太陽光や地熱、水力や風力などの再生可能な自然エネルギーが用いられており、「再生可能エネルギー」とも呼ばれています。

クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)は、温室効果ガスを排出しない、あるいは排出量が少ないことから、パリ協定(※)の目標達成など気候変動対策に貢献することができると考えられています。また、基本的に国産のエネルギー源となるため、エネルギー自給率改善の観点からも各国の政府が注目しています。

※ パリ協定とは、2020年1月に本格実施された、1997年12月に採択された京都議定書に代わる温暖化対策の枠組みのことです。世界共通の長期目標として「世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2.0℃未満に抑え、1.5℃未満を目指す。そのために、可能な限り早期に世界の温室効果ガス排出量を頭打ちにし、21世紀後半には温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる」ことが掲げられています。

「クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)」の主なエネルギー源には、水力・風力・バイオ・太陽光があります。

水力発電とは、主に水が重力により高い所から低いところへ流れる動力を電力に変換する発電方法です。ダム建設に伴う大規模水力発電の他、小規模な流水を利用するマイクロ水力発電、波力発電、潮力発電等が含まれます。

風力発電とは、風を羽に受けることによって動力を電力に変換する発電方法です。風さえ吹けば季節や昼夜を問わず発電することができるため比較的安価であることが利点ですが、生態系への影響や景観に注意が必要です。近年では洋上に設置する「オフショア風力発電」の研究・開発もヨーロッパを中心に盛んです。

バイオ発電とは、穀物や牛糞等の生物資源を発酵させてガス化したり、そのまま燃やしたりすることでタービンを回し、動力を電力に変換する発電方法です。未活用の廃棄物がバイオマス資源として活用され、ゴミを減らすことができるケースもあります。一般的に光合成により二酸化炭素(CO2)を吸収して成長するバイオマス資源は化石燃料よりも地球に優しいとされています。

太陽光発電とは、太陽光を電力に変換する発電方法です。日光の当たる場所であればどこでも設置することができますが、天候の影響を受ける、夜間は発電できない、大規模な設置の場合は自然破壊となるといったデメリットもあります。近年では、住宅に設置し電力を自給自足するような小型の発電機や集光型太陽光発電といった効率的な太陽光発電も開発されています。

2018年時点で、世界の「クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)」の電力量構成比は、水力発電:約66%、風力発電:約18%、バイオ発電:約8%、太陽光発電:約7%となっています。水力発電と風力発電の合計で全体の8割を超えており、現在の「クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)」の主流といえます。これらは他と比較して以前から技術開発が進み、相対的にコストが安くなっているのが要因の一つと考えられています。

SDGs「7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に紐づけられる5つのターゲット

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。「7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のターゲットは以下の5つになります。

7-12030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7-22030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7-32030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7-a2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7-b2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。
出所:外務省HP資料に基づいてクラウドクレジット作成

近年、目覚ましい成長を遂げる新興国をはじめとして、世界の電力消費量は増加傾向にあります。しかし、その一方で、アフリカ地域をはじめとして、電気を使用できない環境で暮らす人々がまだまだたくさんいます。就寝時にオイルランプを使用し、火事になってしまうケースや調理や暖房の為に薪や家畜の糞を室内で燃やし、空気が汚染されることで住人が死亡するケースなども珍しくありません。こうした人々が安心して生活することができるようにするためにも、また、気候変動対策の一環として地球全体の持続可能性を高めるためにも、「クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)」の普及に不断の努力を傾ける必要があるのです。