【SDGs17のゴール】16. 平和と公正をすべての人に

SDGs(持続可能な開発目標)17のゴール(目標)。その項目の16個目に掲げられているのが「平和と公正をすべての人に」です。SDGsでは、2030年までに持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の促進、すべての人々に司法へのアクセスの提供、そしてあらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度の構築を目指しています。世界には紛争地域、公正な裁判を受けられない国がまだまだあります。

SDGs「16. 平和と公正をすべての人に」が目指す暴力、賄賂の撲滅、真の「平等」の実現

1980年代後半から、紛争は国対国の形から地域間の武力対立に姿を変えました。1990年代後半からは、地域間の武力対立に止まらず、不特定多数を巻き込むテロリズムも発生しています。このような暴力を伴う人為災害等は、先進国か新興国かを問わず起きています。また、独裁政権国家などでは、不公平なルールの適用や言論統制が行われ、たとえ戦争をしていなくても、「平和」とは言い難い状況です。

公正なルールが公正に適用される環境でなければ、ルールのないスポーツの試合のように、日常的に暴力や贈賄が横行し、平等とはほど遠い社会となります。まずは、公正なルールそのものがつくられること、そして、それが守られる環境をつくり上げることが重要です。こうした前提を踏まえて、司法へのアクセスなどを確保していく流れになります。

なお、日本では、「法制度整備支援の基本方針」に基づいて、新興国や市場経済への移行を進める国々に対し、「基本法令の起草」、「定められた法令を運用する司法関係機関の制度整備」、「法曹実務家等の人材育成」などの支援を実施しています。これは、日本がかつて明治維新以降、外部モデルを取り入れつつ、自国に合った法整備や統治方法を築いた経験を活かした取組みです。

また、日本はODA(Official Development Assistance、政府開発援助)を通じて、地雷除去や安全な水の供給といった人道支援、海賊対策、インフラ整備などにも貢献しています。

SDGs「16. 平和と公正をすべての人に」に紐づけられる12個のターゲット

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。「16. 平和と公正をすべての人に」のターゲットは以下の12個になります。

16-1あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
16-2子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
16-3国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
16-42030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
16-5あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
16-6あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
16-7あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
16-8グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
16-92030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
16-10国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
16-a特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。
16-b持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。
出所:外務省HP資料に基づいてクラウドクレジット作成

国や文化、宗教、価値観や置かれた立場などによって「平和」や「公正」の考え方や捉え方は異なります。たとえば、「情報を統制しなければ暴動が起きて平和を維持できなくなる」と考えている国家においては、必ずしも情報の自由を公正とは結び付けないでしょう。国王が統治する国であれば、その権威を維持することが公正と平和に繋がると認識されます。このように、国や文化の多様性を認める前提においては、全ての国が同じかたち、同じやり方でSDGsを達成することは困難です。

それぞれの国や地域で実際の生活に根差した形でSDGsの達成を目指すこと、将来的には私たち一人一人が生活する国を選択できる「選択の自由」、「機会の平等」が保証された社会を創ることが肝要です。