【SDGs17のゴール】10. 人や国の不平等をなくそう

SDGs(持続可能な開発目標)17のゴール(目標)。その項目の10個目に掲げられているのが「人や国の不平等をなくそう」です。SDGsでは、2030年までに各国内および各国間の不平等を是正することを目指しています。近年、たびたびメディアでも取り上げられる格差の問題。「世界で富裕層上位8人の資産が、下位50%の人の資産と同額になっている」と報じられるなど、世界ではかつてないほど格差が拡大しており、21世紀において是正に取り組むべき大きな問題の一つとなっています。

SDGs「10. 人や国の不平等をなくそう」が取り上げる2つの格差

「格差」という言葉を聞いて何を思い浮かべるでしょうか。

たとえば、最近では「東大生の親の6割以上は年収950万円以上」というような報道がありました。本来であれば、親の収入等に関係なく、頑張ったら誰にでも門戸が開けるべきなのが、国立大学の入学試験です。しかし、実態としてはそうなってはおらず、裕福な親が子どもに多くの教育費をかけることによって子どもが高学歴を獲得し、高学歴を得た子どもは高収入を得ることによって次の世代の教育投資も可能になり、孫も高学歴を得るサイクルになります。このようなサイクルによって格差が固定化することが問題になっています。これが国内での格差です。

一方で、国家間の格差も大きな問題です。生まれた国の違いによって受けられる教育や医療の質は大きく変わってきます。それに伴って、将来の選択肢の幅や寿命まで、国家間で多くの差が生じてしまいます。一例ですが、日本人の平均寿命が84歳なのに対してカメルーン人の平均寿命は58歳(2016年時点)です。どこの国に生まれたかによって、平均して25年以上も生きられる期間が違ってしまいます。これも是正しなければならない格差の一つです。

SGDs「10. 人や国の不平等をなくそう」に紐づけられる10個のターゲット

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。「10. 人や国の不平等をなくそう」のターゲットは以下の10個になります。

10-12030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10-22030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10-3差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、並びに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10-4税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10-5世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10-6地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10-7計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10-a世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10-b各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10-c2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。
出所:外務省HP資料に基づいてクラウドクレジット作成

多様な意見がある中、これだけの項目に関して世界193の国と地域が合意し、達成をコミットしたことは大きく評価されることです。一方で、SDGsは達成できなくても罰則のない努力目標であり、多くの人が関心を失えば、ただの「達成されないただの高い目標」になってしまいます。公共セクター、民間セクター、市民セクターが一丸となって、「格差の是正は将来的に全員の利益となること」を自覚し、達成に向けて具体的な取り組みを行ってゆくことが求められます。