【SDGs169のターゲット】9-3. 金融サービス等へのアクセスを拡大

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「9. 産業と技術革新の基盤をつくろう」に付随する8つのターゲットのうち、「9-3. 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。」について見ていきましょう。
バリューチェーン及び市場への統合が意味する現状
バリューチェーンとは、企業が提供するモノやサービスの仕入れ~製造~販売などの一連の流れを付加価値の連鎖でとらえることです。途上国がバリューチェーンに組み込まれるためには、途上国に市場があることや、人材や技術力があり企業が進出することなどが必要になります。これを裏返すと、現在は途上国の経済水準がまだ低く、市場として適さない、人材や技術力に問題点があり企業が進出をためらっているということです。
例えば、自動車部品の製造を途上国の工場に委託しようとしても、工場を持ち品質を管理しながら製造を請け負う会社がないといった状況です。もし金融インフラが整っていれば、個人が始めた製造業の会社が借入等を通じて人を雇い工場を建設することで請け負うことができます。現在は金融インフラが整っていないため、そうした中小企業が成長しておらず小規模な零細企業が多数存在しているという現状です。
途上国における中小企業の資金調達方法
一般的に途上国の中小企業が借入等の方法で資金調達をすることは、日本国内で日本の企業が資金調達するよりも困難です。その背景は国により様々といえます。例えば、旧共産主義圏の国においては民間企業や民間の銀行を国家が承認した時期が遅いため、国有企業以外の企業に積極的にお金を貸す銀行が少なかったり、そういった銀行があっても資本力が小さく貸付規模が限られていたりします。
また、手続きが煩雑で好まれない・条件が厳しい・アクセスが限られているといった課題もあります。一方で、こうした課題の解決に挑戦するフィンテックベンチャー企業も現れています。例えば、オンライン申し込み・審査で貸付を行う金融ベンチャー企業が、僻地の中小企業に向けて運転資金を提供する担い手になっています。
金融インフラが整っている日本国内ではキャッシュレスなどのフィンテックがあまり広がっていませんが、かえって金融インフラが整っていない途上国では普及が進んでいます。これと同じように、中小企業の資金調達方法の多様化も、日本より課題の多い途上国のほうが先に進む日が来るかもしれません。