【SDGs169のターゲット】8-3. 中小零細企業の設立や成長の奨励

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「8. 働きがいも経済成長も」に付随する12個のターゲットのうち、「8-3. 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。」について見ていきましょう。
雇用創出の重要性
日本国内では少子高齢化が進んでいる一方、世界全体では人口増加で若年層が増加しています。世界銀行によると、2018年時点で、世界全体において若年層を中心に約1億7千万人以上が失業しており、これから就業する年齢となる人を加えると2030年までに約6億人分の雇用が必要です。雇用を創出できなければ、日々の糧を得られず貧困に陥る方が増加することになります。そもそも人道的に大きな問題があることは当然のことながら、こうした事態に直面している方々以外にも、治安の悪化や公衆衛生上の問題発生、社会保障費の増大などの悪影響を与えてしまいます。
金融サービスへのアクセス改善―マイクロファイナンス機関
ファイナンシャル・エクスクルージョン(金融排除)とは、貧困層や移民の方々が、預金や保険、融資などの金融サービスにアクセスしたくてもアクセスできない環境に置かれてしまっていることを指します。世界銀行によると、2018年時点で世界の成人の約31%にあたる17億人もの方々が、ファイナンシャル・エクスクルージョン(金融排除)の状態に置かれているとされています。ただ、これでも2011年以降、約12億人の方たちが金融機関の口座開設を行ったことを勘案すると、ファイナンシャル・エクスクルージョン(金融排除)は減少傾向にあるといえます。
現在、ファイナンシャル・エクスクルージョン(金融排除)の状態にある方の多くは、新興国における貧困層に位置づけられる飢餓と隣り合わせの暮らしを送る方々です。その全体の約8割が、農村で暮らしています。農村地域には金融機関の支店がなく、金融サービスを利用できないことも珍しくありません。また、収入が低い農業従事者の方々のための金融サービスが少ないといった金融サービスへのアクセスの欠如や金融リテラシーの欠如も課題となっています。これらの課題を解決するため、マイクロファイナンス機関が世界各国で設立されています。マイクロファイナンスとは、従来の金融サービスにアクセスできる環境にない方々を対象に提供する金融サービスの総称を指します。こういった金融サービスを提供する会社等をマイクロファイナンス機関と呼びます。
マイクロファイナンス機関を利用して貯金や借り入れができるようになることで、貧しい状態に陥っている方々が自ら職を作り出したり、零細企業の売り上げが安定・拡大したりすることが期待されています。