【SDGs169のターゲット】7-2. 再生可能エネルギーの割合の大幅な拡大

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に付随する5つのターゲットのうち、「7-2. 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。」について見ていきましょう。
エネルギーミックスとは
エネルギーミックスとは、最適化された電源構成のことです。電源とは、電力を生み出すために使用する資源のことで、石炭や石油などの化石燃料、水力、天然ガス、原子力、風力、太陽光などがあります。各国政府は、“3E+S”と呼ばれるエネルギーの安定供給性(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合性(Environment)、これらの大前提となる安全性(Safety)を考慮しながら、理想的な電源構成比を定めることを目標としています。たとえば、資源エネルギー庁によると、日本は2030年までに再生可能エネルギーの電源構成比を22%~24%に増加させ、化石燃料については56%に低下させることを目指しています。これは、ターゲット7-2にも沿った目標といえます。
また、より長期的にはエネルギー転換、脱炭素化を掲げており、再生可能エネルギーの主力化や各分野の技術革新による省エネ化、「分散型エネルギーシステム」の構築を目標としています。分散型エネルギーシステムとは、各地域や各家庭などの小さい単位で発電や蓄電を行い需要に応じて電力を売買できるシステムのことです。送電網設置のコストが高い途上国などでとくに注目されていますが、日本においても災害対策の観点から有用だと考えられています。
日本国内の電源構成比と電気料金
日本国内の電源構成は、資源エネルギー庁によると、直近の2018年度において石炭が31.6%、LNG(液化天然ガス)が38.3%、石油などが7%、原子力が6.2%、水力を除く再生可能エネルギーが9.2%、水力が7.7%です。2011年3月11日の東日本大震災による原子力発電の停止により、化石燃料依存度が増加しています。これに伴い、日本は化石燃料の大半を輸入しているため、電気料金も上昇しています。
また、再生可能エネルギーの割合が増加している一方、再生可能エネルギーの普及のために「固定価格買取制度(FIT)」と呼ばれる電気をあらかじめ決められた価格で買い取る制度を運用しています。2020年では、これに約3.8兆円かかっているため、電気料金の一部である賦課金が上昇しています。このように、ターゲット7-2は、実は私たちの暮らしとも密接に関わりがあります。

(出典:経済産業省資源エネルギー庁『2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)』)
世界の電源構成比
世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合は、水力発電が盛んなカナダを除きそれほど高くありません。しかしながら、技術革新が進み、再生可能エネルギーのコストが低くなれば、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合は高くなると考えられます。実際、再生可能エネルギーの設置コストは、少しずつではあるものの低下傾向にあります。

(出典:経済産業省資源エネルギー庁『2020—日本が抱えているエネルギー問題(後編)』)