【SDGs169のターゲット】7-1. 現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスの確保

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の5つのターゲットのうち、「7-1. 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する」について見ていきましょう。

電力供給は「安価かつ信頼できる」ものでなければ広がらない

電気料金は、世界各国で異なります。ほとんどの国民が電気を日常的に使用できる先進国であれば、電源と税制の違いが電気料金の差異を創り出しています。たとえば、イギリスやドイツのように火力発電の割合が高い国は化石燃料の価格の上下に電気料金が連動しており、近年上昇傾向にあります。カナダのように水力発電の割合が高い国は、電気料金が世界の中でも安くなっています。私たちが生活する日本は、世界と比較すると平均的な電気料金です。

一方で、まだまだ未電化地域が残っているアフリカ諸国などでは、電源と税制の違いのほか、地域の電化率が電気料金の差異を生み出しています。多くの国民が日常的に電気を使用する国の電力会社であれば、薄利多売でも収益を得ることができます。また、とくに先進国の電力会社のように送電線の整備といった設備投資が完了し、初期投資の回収が既に終わっている場合は、いたずらに電気料金を上げなくても事業を存続することができます。

しかし、多くのアフリカ諸国の電力会社は、新たに送電網を設置しなければならないため、初期投資のコストが高く、また電気を日常的に使用できるような豊かな暮らしの人が少ないため、電気料金が高止まりしている状況です。結果、電気を使用する人数が少ないため初期投資を回収できず、赤字に陥っている電力会社も珍しくありません。停電も多く、電力供給に対する信頼度が低いことから他国の事業進出のボトルネックとなっています。

電力にアクセスできない地域で暮らす人々

以下の表は国別の電化率を低い順に並べたものです。

電化率が低い国の大半がアフリカ地域に偏っているのが見て取れます。こうした国で暮らす人々は、電気を使用できない環境下で、不便な生活を余儀なくされています。就寝時にオイルランプを使用し、火事になってしまうケース、調理や暖房のために薪や家畜の糞を室内で燃やし、空気が汚染されることで住人が死亡するケースも珍しくありません。

アフリカ地域は広大な面積ですが、その一方で、1㎢あたりの平均人口を示す平均人口密度は低水準にあります。そのため、発電所や送電網を含む従来のグリッド型の電力系統の導入は、他の地域と比較して構築費用が高く、また、インフラの開発効果が低いことが指摘されています。これが、アフリカ地域が未電化状態から脱することができない主な理由の一つです。

これを打破するため、近年では「クリーンエネルギー(再生可能エネルギー)」、とくに太陽光発電の可能性に注目が集まっています。太陽光発電は日が当たりさえすればどのような場所でも設置可能で、小型化も進んでいるため、送電網の届きにくいアフリカ地域での活用が期待されています。電気が使えるようになることで冷蔵庫の使用が可能となり、ワクチンや飲料水の保存が容易になると考えられています。生活の利便性向上だけでなく、衛生面の改善も見込まれるのです。