【SDGs169のターゲット】6-2. 適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスの達成

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「6. 安全な水とトイレを世界中に」に付随する8つのターゲットのうち、「6-2. 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。」について見ていきましょう。

日本と世界のトイレ事情

現在の日本は、トイレの使用が当たり前となっています。各家庭にトイレがあるだけでなく、道を歩けば誰でも使用できる無料の公衆トイレが数多くあり、非常に衛生的な環境です。しかしながら、昔はそうではありませんでした。

日本で屋外排泄が禁止されたのは、明治の頃でした。これは「文明開化」と称して、当時の欧米人から指摘された衛生上好ましくない生活習慣を法律で規制したことが始まりです。法律で規制される前の江戸時代の頃は、人の行き来のある道端でも立小便が見られたといわれています。また、当時の江戸(東京)の排泄物は近郊農村で肥料としての需要があったことから、共同トイレで集められて売買されていたほか、馬や荷車で運搬されており大変臭かったようです。

たしかに、江戸時代の暮らしは当時の欧米や現代の私たちから見ると衛生的には見えないかもしれません。しかし、共同トイレが日常生活に根差していたという点においては、画期的で先進的であったとも考えられます。というのも、現在でもトイレの普及に課題を抱える途上国は少なくないためです。

世界銀行によると、2017年時点で安全で管理されたトイレを使用できる人口割合が90%以上の国は33カ国、80%以上の国は48カ国しかありません。その多くはヨーロッパ、北米、一部中東などです。アフリカや中央アジアではデータ自体の獲得が困難な状況です。せっかくトイレを設置しても、汚物の汲み取りにかかる手間や料金から使用が普及しない、納屋として使用される、女性への暴行事件に悪用されるといった課題も散見されます。

(クラウドクレジット社員撮影:アフリカ地域マラウイ共和国の農村地域のトイレ)

衛生的なトイレへのアクセスが困難な地域では、下痢やコレラ、A型肝炎、またはそれらを含んだ慢性的な栄養失調の症状が出るリスクが高まります。また、下水管や下水処理施設の整備、そしてトイレをきれいにするための水がなければ、各家庭や地域一帯の衛生状況は悪化していく一方です。

適切かつ平等な下水施設・衛生施設

現在の私たちの暮らしに欠かせない下水道は、建設、維持、普及に莫大な資金や高度な技術が求められます。東京で下水道の普及率が70%になったのは1978年、ほぼ100%になったのは1995年です。比較的豊かな国である日本でさえこれほどの時間を要したことを考えると、世界中に下水施設を普及するという目標が容易でないことは明らかです。

途上国の衛生状況を改善するためには、各国政府が上下水道の整備をするほか、根本的な解決策はなさそうです。また、水道料金が不当に高く設定されていることや、水の供給が不安定になってしまうような供給能力の改善、上下水道が破損した際の対応力なども強化しなければならないでしょう。とはいえ現実的には、財源に限りのある途上国政府が、上下水道の整備や管理、トイレへのアクセスの急激な増加を短期間で成し遂げることは難しいと言わざるを得ません。

上下水道の整備が進まないような地域では、その地域に住んでいる方々が、水やトイレへのアクセスが原因となって起こる健康被害や病気を認知し、衛生意識を高めることが重要です。水道の整備がされなくても健康被害や死亡のリスクを低下させることができるほか、きれいな水へのアクセスが十分にある地域でも、手洗いやうがいなどの衛生意識、習慣が高まっていなければ、防げる病気も防げないといいます。井戸の管理や修理など、そこに住む個人レベルの意識、能力が強化されることで、行政の対応の遅れによる水不足の被害をカバーすることは相応に可能といえるでしょう。

日本を含めた世界各国のサポート体制を通じ、行政レベル、個人レベルの双方の支援が可能です。水道関連行政の指針や財源の補助はもちろん、水の利用量を抑えた農業や産業のノウハウの移転、簡易的に使える浄水器の普及など、民間企業や市民セクターの活躍できる領域が多くあります。