【SDGs169のターゲット】5-1. すべての女性たちへのあらゆる差別を撤廃

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「5. ジェンダー平等を実現しよう」の9つのターゲットのうち、「5-1. あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。」について見ていきましょう。

生物学的性別とLGBTQIA

近年、性的指向や性同一性に基づいた差別の撤廃に向けた動きが大きくなっています。マスメディアなどの影響により性的マイノリティに対する社会的認知度が高くなり、LGBTという言葉も一般的になりつつあります。

LGBTあるいはLGBTQIAとは、性的指向や性自認などの性的マイノリティの総称です。「身体の性」「心の性」「恋愛対象」などの要素の組み合わせから、複雑で多様な性があるとの理解が広まっています。日本では、法務省がそうした性的マイノリティの人権を守るために相談窓口を用意するなどの取り組みを実施しています。

SDGsでは、「女性及び女児」と表現する対象は、性を構成する要素の中でも、「身体の性」「生物学的性別」を指していると考えられます。また、この記事で使用する「男女」についても、生物学的性別を指しています。

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約

「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)」は1979年に国連総会にて採択されました。内閣府男女共同参画局によると、2020年2月時点で189カ国がこの条約を締結しています。日本は採択時に賛成票を投じ、1980年に署名、1985年に批准しています。

女子差別には、性的嫌がらせ(セクハラ)や暴力(DV)、女性器切除、児童婚のほか、「家事と子育ては女性がやるべき」といった文化的に形成されるステレオタイプ、男女間の賃金や就労機会の格差なども含まれます。

日本や韓国は、男女間の賃金格差を示す”Gender wage gap”の数値が他国と比して相対的に高いことから、残念ながら男女差別の撤廃が遅れた国として国際的には見られてしまっています。

日本と韓国の2国は、下の「女性の年齢階級別労働力率の推移」をご覧いただくと、欧米諸国では見られない20代後半~30代にかけての数字の落ち込みによるM字カーブが特徴的です。

従前からの「男性は仕事、女性は家庭」というステレオタイプの意識は徐々に薄れているものの、子育てをしながら就労する社会環境が十分には整っていないのが現実です。結果的に女性が家庭を優先せざるを得ず、「非正規雇用」のキャリアを選択するケースが多く見受けられます。男性の非正規雇用の割合は2014年において平均約22.6%ですが、女性は平均約55.6%に上ります。日本国内では、社会環境の不整備による雇用形態の違い等から、ジェンダーギャップが大きくなっていると考えられます。

ジェンダー平等に向けた第一歩~男女の区別と男女差別の違い~

男女の違いを認め区別することと男女差別は同じではありません。両者を混同したまま議論がなされると、議論が平行線をたどってしまいがちですので注意が必要です。

生物学的に出産が可能な性別は女性であり、妊娠や出産は大量出血などの身体的危険を伴うことから、そうした女性には産休などの合理的な配慮が必要です。こうした合理的配慮は男女差別には当たりません。

一方で、「女性は出産・育児で早期退職するから採用しない」、「女性は休むから特定の職業や役職には向いていない」、「女性は男性より劣っている生き物だ」などといった言説は、女性差別に当たります。

障がい者の方が障がいの内容により従事可能な業務が異なるように、女性がこなせる役割もその女性が置かれた環境やライフステージ、生き方などによって異なります。人種、国籍、性別など属性で一括りにするのではなく、一人ひとりの個性を認め、多様な生き方を各人が自分で選択できる社会の実現が望まれます。

ジェンダー平等に向けた第一歩として、まずは男女の違いを認め区別することと男女差別の違いをはっきりとした共通認識とするなど、誰にでもできることから始めるのが、大きな前進につながるのです。