【SDGs169のターゲット】4-1.すべての子どもの初等教育および中等教育の修了

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「4. 質の高い教育をみんなに」の10個のターゲットのうち、「4-1. 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする」について見ていきましょう。

世界の教育における所得格差・男女格差

教育の状況を識字率から推し量ると、所得格差と男女格差が浮き彫りになります。世界銀行の統計によると、15歳以上の男女の識字率はともに上昇傾向にあり、改善しているといえます。一方、男女ともに世界平均と低・中所得者の平均を比較すると、低・中所得者の識字率が一貫して低い結果となっています。また、男女の識字率を比較すると、女性の方が低い結果となっています。世界では「文字の読み書き」という基本的な教育においても、男女の格差が見て取れます。

新しい障がい者教育としてのインクルーシブ教育システム

教育格差の問題には、男女格差だけでなく障がい者格差も内包されています。日本国内の場合は、教育基本法によって障がいの有無に関わらず、すべての子どもに就学の機会が与えられるよう整備されてきました。現在は障がいの種類や程度により合理的配慮がなされるかたちで、特別支援教育が実施されています。さらに、2007年には障がい者の権利に関する条約に署名しており、「インクルーシブ教育システム(inclusive education system)」を目指しています。

インクルーシブ教育システムとは、誰もが能力を最大限発達させ、自由に社会参加できることを目指し、障がいのある人とない人が共に学ぶ仕組みのことです。具体的には、自分の暮らす地域で初等中等教育が受けられること、各々に必要な合理的配慮がなされることが求められています。日本国内では、現在の特別支援教育を発展させるかたちで環境整備が進められています。こうした障がい者の教育環境の整備や就労環境の整備を行い、「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進することが世界的潮流となっています。

通常の教育では「効果的な学習成果」を出せない子ども

一般的な教育では効果的な学習成果をあげにくい子どもがいます。知的障がい者の他、ギフテッド、GATE (Gifted and Talented Education) 、TAG (Talented and Gifted)と呼ばれる知能や芸術的才能に秀でた子どもたちです。とくにアメリカ合衆国では専用の学校があるなど国策として支援されています。

日本ではギフテッド自体の知名度が低く、精神的障がいとの誤診も珍しくありません。学校に上手く適応できず不登校児になり問題視され、親子ともに悩んでしまうことも多いようです。こうした不遇な目に合う子どもを減らし、各人がそれぞれ最大限能力開発できるよう多様な教育の在り方を模索する必要があります。

無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育の修了

日本国内では、小・中学校の教育が義務教育とされ無償で通うことができますが、世界にはそうした教育制度が整っていない国があります。とくにアフリカなどの新興国では、学校や教育制度があったとしても教材費を支払う経済力がない、途中で働き手として駆り出され修了することができないといったケースが多くあります。

世界全体では、約4億6,000万人もの子どもたちが、十分な教育を受けることができない状態に置かれてしまっています。なかでも、とくに貧しい家庭の子どもたちが、オンライン授業を受講できる環境になく、教育格差の広がりが従前以上に懸念されています。

今般のコロナ禍で益々達成が難しい状況ではありますが、貧富・男女・障がいの有無・珍しい個性にかかわらず、すべての子どもが自分の能力を最大限開花させる教育を受けられる環境づくりを推し進めることは、たとえ漸進的にであっても必要不可欠なのです。