【SDGs169のターゲット】3-3. 伝染病の根絶、感染症への対処

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「3. すべての人に健康と福祉を」の13個のターゲットのうち、「3-2. 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。」について見ていきましょう。
エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病
エイズ(後天性免疫不全症候群)
エイズ(後天性免疫不全症候群)は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)によって引き起こされる感染症です。免疫力が低下し、様々な病気に罹るリスクが上がってしまいます。エイズは感染から発症まで数年から数十年かかることから、自分が感染していると知らない感染者による性的行為により拡大してしまうことがあります。
早期発見による早期治療により発症を抑えられるほか、コンドームを正しく使用することで予防することができます。自分の身を守るためにも、またエイズ感染者に対する差別や偏見といった問題を解決するためにも、知識を広めることや、検査の機会を増やすことが重要です。2020年時点で、世界でHIVに感染している方は約3,600万人おり、HIVの感染に気付いていない方は全人口の16%に及ぶとの試算もあります。サブサハラ地域においては25人に1人もの方が感染しています。
結核
結核は、結核菌という細菌によって引き起こされる病気です。全世界で毎年約1,000万人が感染し約150万人が死亡しています。結核菌は世界人口の1/4もの方が保持しており、そのうち5%~15%の人が症状と感染力を持ってしまう状況です。患者の多くは途上国で暮らしていますが、日本でも毎年約1.5万人が感染しています。結核は空気感染で蔓延し咳や呼吸困難等を引き起こします。
マラリア
マラリアは、マラリア原虫という単細胞生物によって引き起こされる病気です。マラリア原虫を持つ蚊に刺されることで感染します。熱帯・亜熱帯地域の子どもたちの多くがマラリアにより命を落としています。2019年時点で、世界で2億2,900万人以上の人がマラリアに感染しています。発症すると原虫の発育周期に合わせて40度近くの高熱で苦しむことになり、進行すると昏睡などを引き起こし死に至ります。マラリアによる死者は、ナイジェリア、コンゴ、ブルキナファソなどのアフリカに集中しています。
顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)
顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)とは、WHOが定めた18の疾患のことです。狂犬病やデング熱などが含まれています。ハエや不衛生な水を飲料とすることで広まる病気も多く、公衆衛生上の課題が多く残っている貧しい地域や国で蔓延しています。
肝炎、水系感染症及びその他の感染症
途上国では財源不足などから上下水道が整備されていない・適切にメンテナンスされていないことも多くあります。その結果として、水系感染症と呼ばれる、飲み水が汚いことで起こる感染症の犠牲者が多く発生しています。特に、熱帯においては水系感染症の原因となる微生物にとって好ましい環境が整っているため犠牲者が多くなっています。代表的な水系感染症は、コレラやポリオ、赤痢などです。肝炎とは肝臓の炎症のことで、水系感染症に分類されるA型肝炎などがあります。人口増加に伴うし尿処理の問題は、感染症の原因になるほか自然破壊などにもつながるため解決が急がれます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)もその名のとおり感染症の1つです。パンデミック抑制のため全世界でワクチン接種が進んでいますが、財源や開発力のない低所得国と先進国には大きな溝があります。世界全体でみると、1回でもワクチンを接種した人は2021年6月8日時点で12%しかいません。こうした格差が埋まらなければ変異株の出現といったリスクが高くなることから、日本政府や日本の民間企業が支援を表明しています。