【SDGs169のターゲット】2-2. あらゆる形態の栄養不良を解消

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「2. 飢餓をゼロに」の8つのターゲットのうち、「2-2. 5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う」について見ていきましょう。
「国際栄養目標(Global Targets)2025」と「栄養のための行動の10年」
2025年を区切りとした栄養に関する国際的な目標には、WHOが掲げる「国際栄養目標(Global Targets)2025」と、国連総会で決議された「栄養のための行動の10年」があります。
国際栄養目標(Global Targets)2025は2012年にWHO総会にて設定された6つの目標群です。6つの目標は、以下のとおりです。
- 5歳以下の子どもの発育阻害の割合を40%減らす。
- 生殖可能年齢にある女性の貧血を50%減らす。
- 出生時の低体重を30%減らす。
- 子供の過体重を増やさない。
- 最初の6ヶ月間の完全母乳育児の割合を50%以上にする。
- 小児期の消耗症の割合を5%以下に減少・維持する。
栄養のための行動の10年は2016年に国連総会で決議された宣言です。FAO(国連食糧農業機関)、WHO(世界保健機関)、WFP(国連世界食糧計画)、IFAD(国際農業開発基金)、UNICEF(国連児童基金)などの国際機関が連携して飢餓や栄養失調の撲滅を目指すことを定めています。
世界の飢餓状況は、WFP(国連世界食糧計画)により「ハンガーマップ」としてわかりやすくまとめられています。アフリカ、中東、南アジア、東南アジアには飢えた人がまだまだたくさん存在します。日本の隣国である北朝鮮も、そうした国の1つです。
先進国における隠れた栄養不良とは
先進国においては、飢餓や低栄養よりも栄養過多の方が頻繁に発生しています。しかし、ホームレスの場合や精神障がいのある場合、過度なダイエットをしている場合、高齢者などにおいては先進国であっても低栄養に陥るケースがあります。
低栄養の状態が続くと、身体がエネルギーを得るため本来必要な筋肉や内臓組織が分解され体力や免疫力が低下します。その結果、さらに食欲が低下し、どんどん身体が弱っていくことになり、骨が浮き出て腹部などに体液がたまる他、呼吸不全などが起ります。最終的に何も食べない状態が2~3ヵ月続くと死に至ります。とくに、幼少期に重度の低栄養状態となると、生涯にわたって知的障がいや消化器不良を抱えるおそれがあります。
若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズ
日本の20代~30代の女性はエネルギー摂取量不足により低栄養に陥っているケースが珍しくありません。食糧が十分ではなかった終戦直後よりもエネルギー摂取量が少なく、月経不順や体調不良を引き起こしています。また、妊婦・授乳婦は子どもの分まで栄養が必要であること、高齢者の5人に1人は低栄養の状態にあることから、とくに注意が必要です。低栄養は生命維持の問題にかかわるだけでなく、無気力などの精神状態にも影響します。誰もが幸せに暮らせる社会をつくるために、栄養事情を整えることは急務となっています。