【SDGs169のターゲット】17-3. 開発途上国のための追加的資金源を動員

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「17. パートナーシップで目標を達成しよう」の19個のターゲットのうち、「17-3. 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。」について見ていきましょう。
SDGs達成に必要な資金額
SDGs 達成は経済的にも意義があると推定されています。SDGsを達成することにより世界全体で約 3 億 8,000 万人分の雇用が生み出され、市場機会が年間約 12 兆ドル創り出されると試算されています。
一方で、開発途上国がSDGsを達成するためには道路や上下水道、発電所、ごみ処理場等、様々なインフラ整備が必要であり膨大な資金が必要です。現在の開発途上国向けの年間平均投資額は政府系・民間あわせて約1.4兆ドルです。途上国が必要としている年間投資金額は約3.9兆ドルと試算されており、毎年約2.5兆ドル不足している状況です。SDGsは当然のことながら、先進国においても達成すべき目標であり、先進国に必要な投資金額を加えるとさらに大きな金額となります。
開発途上国のための資金源
開発途上国への投資資金は主にODAと民間投資の2つです。ODAとは“Official Development Assistance”の略で、一般に「政府開発援助」と訳されています。ODAは二国間援助と呼ばれる特定の国への技術協力や有償・無償の資金援助(例:円借款)等と、多国間援助と呼ばれる国際機関への資金拠出に分けられます。日本は敗戦直後にアメリカからODAを受け、また世界銀行からお金を借りて東名高速道路や東海道新幹線を建設し経済発展を遂げました。こうした歴史を経て、現在では日本が特にアジア各国にODAを行う側となっています。日本のODAの実績は2018年には、アメリカ、ドイツ、イギリスに次ぐ世界第4位です。
開発途上国支援と聞くと上記のODAを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、2005年以降、民間投資額のほうがODAよりも多くなっています。電気が使えるようになるために必要な送電網の設置や、道路や鉄道などの建設、再生可能エネルギーに関する技術開発などの領域では民間投資が多くなっているのです。しかし、直近は民間投資額がやや減少傾向にあります。
私たちが自分たちの暮らしを守り、次世代により良い世界を残すためには、たとえば「環境を汚染してしまうものの儲かる投資」と「気候変動問題に対処するための投資」を区別して評価しなければなりません。より透明性が高く分かりやすいインパクト測定と、それを活用したESG投資などが、昨今、拡がりを見せていますが、今後より一層の進化および深化が期待されています。