【SDGs169のターゲット】16-3. すべての人々に司法への平等なアクセスを

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「16.平和と公正をすべての人に」の12個のターゲットのうち、「16-3. 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。」について見ていきましょう。

法の支配が意味すること

法の支配と似た言葉に法治主義があります。ここでは、法の支配と法治主義を比較しながらその内容を解説します。法治主義とは、国家は法律に基づいて運営されるべきだという思想のことです。独裁者が自分に都合の良い法律を制定しそれに基づいて国民を弾圧したとしても、あくまでも法律上は正当性があるため法治主義に基づいた法治国家といえます。一方で、法の支配とは統治者の権力を制限し法の適正性を問うことができる、より民主的な思想です。統治される側の生命や自由を守るために重要な思想といえます。

「国家及び国際的なレベルで法の支配を促進する」とは、統治者による弾圧や虐殺などを防ぐためにより民主的な世界を目指すということです。たとえば、ミャンマーの軍事政権が自分たちに有利な法律ばかりを施行したり、アフガニスタンのタリバン政権が自分たちに逆らう民衆の生命を脅かすような過酷な刑罰で脅す法律を施行したりすると、数多くの人命が失われます。ターゲット16-3はそうした悲劇的な出来事を減らすことを目指した目標といえます。統治される側の生命や自由といった権利を守るために、法の支配は非常に重要です。

司法へのアクセス

法の支配と併せて、司法へのアクセスも平穏な暮らしを支える大切なインフラです。日常生活を送るうえで司法へのアクセスを意識することは少ないかもしれません。しかし、いざというときに誰もが裁判所に訴えることができるという体制が争いの抑止力になっています。裏返すと、司法へのアクセスがない人は社会的に不利な状況にあります。たとえば、お金持ちだけが裁判所に訴えることができるというルールの場合、お金のない人は何をされても何もできないということになります。そうすると、反撃されないことを利用してお金のない人を狙って害を与える人が現れます。

実際に、移民やホームレス、国によっては女性など司法へのアクセスを与えられていない人が多く存在します。また、弁護士の人数が足りないことで中々裁判ができない国、未処理訴訟が大量にある国もあります。人権を守るためには、そうした人や国にも司法へのアクセスを広げる取組みが重要です。