【SDGs169のターゲット】16-1.暴力および暴力に関連する死亡率の大幅な減少

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「16. 平和と公正をすべての人に」の12個のターゲットのうち、「16-1. あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる」について見ていきましょう。
暴力の形態
暴力は主に3つの形態、「身体的暴力」、「精神的暴力」、「性的暴力」、に分類されます。「身体的暴力」とは、殴る・蹴る・髪を引っ張る・物を投げつけるなど身体に傷をつけ痛みを与える行為のことです。「精神的暴力」とは、怒鳴る・無視する・見下した言動をとるなど心を傷つける行為のことです。生活費を与えない・仕事を制限するなどの行為は、精神的暴力の中でも「経済的暴力」として分類されています。また、友人付き合いの制限や連絡の頻繁な確認などの「社会的暴力」や、殴る素振り・子どもに危害を加えると脅す行為も精神的暴力です。「性的暴力」とは、同意のない性的行為の強要・中絶の強要・避妊に協力しないといった性に関する支配的な行為のことです。
上記のような暴力の起こる場所が家庭内であれば「DV(ドメスティック・バイオレンス)」、国家や地域間で大規模に発生した場合は「紛争」や「戦争」、特定の政治思想や宗教的思想に基づき不特定多数の一般市民に対して行われた場合には「テロ」、政治的支配者により国内で行われた場合には「粛清」などと呼ばれます。SDGsでは、あらゆる場所におけるすべての形態の暴力を減少させることを目指しているため、紛争や殺人事件の減少は勿論、DV、パワハラ、セクハラなども減少させようという目標と考えられます。
暴力に関連する統計
日本における暴力の現状を統計資料から見てみましょう。警察庁の犯罪被害者白書によると、殺人・放火・強制性交等などの重大な身体的暴力である「凶悪犯罪件数」は、2019年時点で4,706件です。暴行や傷害などの身体的暴力、恐喝や脅迫などの精神的暴力である「粗暴犯件数」は、同時点で56,753件です。これらの犯罪件数は2001年以降減少傾向にあります。また、身体的暴力や精神的暴力などの要因により至ると考えられる自殺者についても、2001年以降2万人超と数は多いものの減少傾向にあります。
一方で、内閣府男女共同参画局の「配偶者からの暴力に関するデータ」によると配偶者からの暴力に関する相談件数は2018年時点で114,481件、厚生労働省の「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律施行状況」によると民事上の個別労働紛争に係る相談の件数のうち、理由が「いじめ・嫌がらせ」のものは85,570件とどちらも制度の普及と相まって増加傾向にあります。
この他にも「学校におけるいじめ」や「児童虐待」など、暴力は様々なかたちで表れます。このように、暴力は様々な場所で様々な形態で起こり得る事象であるからこそ、あらゆるかたちの暴力を減らしていくことをSDGsでは目指しているのです。