【SDGs169のターゲット】15-3. 土地劣化に荷担しない世界の達成へ

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「15. 陸の豊かさを守ろう」の10個のターゲットのうち、「15-3. 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。」について見ていきましょう。

砂漠化の原因

地球には地形や気候の影響で元々砂漠である地域と、気候変動や私たち人間の暮らし方の影響で本来は砂漠ではないのに砂漠になってしまった地域があります。地球環境問題で議論されるのは後者の砂漠です。

人口が増加すると、お金や食料が必要になります。人口が増加している地域では、とくにお金や食料を求めて、自然回復力を超えた農業(過耕作)や畜産業(過放牧)、森林伐採が行われてしまうことがあります。そうすると、山の保水力が下がって洪水が起き、さらに洪水により土壌が流出して植物が育たなくなる・水だけが蒸発することで土壌の塩類濃度が上がり植物が育たなくなるといった事態が発生します。こうした人口増加による要因と気候変動による干ばつの発生などが原因で砂漠化が進行しています。

とくに、人口増加が著しいアフリカ諸国やインド・中国で砂漠化が進んでいます。また、南アメリカ大陸の熱帯雨林伐採も砂漠化を進める懸念があります。

砂漠化した土地を回復するー砂漠緑化とは

砂漠化した土地を回復させる取組みを「砂漠緑化」といいます。砂漠緑化は、「砂防」、「植栽」、「水管理」、「土壌管理」、「品種改良」などの技術を組み合わせて行われます。砂防とは、砂の移動を防ぐことです。砂漠の砂が風に吹かれて移動し地表を覆ってしまうと、植物が育たなくなってしまいます。それを防ぐため、植栽、苗木を植えるといった取組みが実施されています。植えた苗木を育てるためには灌漑や排水などの水管理と、塩類の除去や滞留の防止といった土壌管理が必要になります。また、砂漠地帯の付近は乾燥帯に属していることが多いため、日照りや乾燥に強い植物を品種改良で作り出すことでより持続的な緑化が可能になります。

砂漠化を食い止めるためには

砂漠化の真の背景には気候変動問題と貧困問題・食料問題があります。本来は砂漠でないのに砂漠化してしまった土地を回復させるためにも、気候変動の影響を最小限に抑えながら、貧しい方々が生活できるよう仕事を作り出し、自然回復力を損なわない食料生産を行っていくことが必要不可欠です。