【SDGs169のターゲット】14-2. 海洋および沿岸の生態系の回復のための取組みの実施

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「14. 海の豊かさを守ろう」の10個のターゲットのうち、「14-2. 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。」について見ていきましょう。
海洋及び沿岸の生態系
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、生物学的に持続可能なレベルで漁獲されている資源の割合は年々減少しています。1974年時点では水産資源の90%が適正な範囲内で利用されていましたが、2015年時点では67%にまで低下しています。過剰に漁獲されることで、種の存続が難しくなっているのです。
また、海の生態系が崩れる要因は漁業だけではありません。沿岸部や河川の開発工事、海洋汚染のほか、外来種の持ち込み、気候変動による水温や酸性度等の変化なども生態系に影響を及ぼします。海洋及び沿岸の生態系が崩れると、食文化が貧しくなってしまうことに加えて、陸域生態系にまで影響が及ぶことが予想されます。生態系全体のバランスが崩れると、農業が難しくなり、食糧不足に陥る、感染症が流行するなどの危険が生じます。
生態系の回復のための取組み
海洋生物の多様性を守るため、各国で海洋保護区の設定が増加しています。たとえば、アメリカのマリアナ海溝海洋ナショナルモニュメントや、パラオのナショナル海洋サンクチュアリなどです。環境省の『重要海域の抽出を踏まえた海洋保護区の設定に向けた課題と今後の取組』によると、日本の海洋保護区にあたる面積の合計は約36.9万k㎡で、管轄水域(領海及び排他的経済水域)の約8.3%となっています。
また、海洋保護区の設定のほか、違法な漁業を防止するための国際協定である「違法漁業防止寄港国措置協定」に69ヵ国が署名しています。加えて、世界中の海にはそれぞれ域内の水産資源を管理する地域漁業管理機関があり、漁獲量規制などを決定し水産資源保護に努めています。このような不断の地道で漸進的な取組みが、私たちの世界を繋ぐ海を守ることに繋がるのです。