【SDGs169のターゲット】14-1.あらゆる種類の海洋汚染の防止、大幅な削減

DGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「14. 海の豊かさを守ろう」の10個のターゲットのうち、「14-1. 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」について見ていきましょう。
海洋汚染の種類―①有害物質の生物濃縮
海洋汚染は、陸上や船舶から排出される油・プラスチックごみなどの廃棄物・有害液体物質などにより引き起こされます。このような海の汚染は、ごみの漂着や赤潮などにより景観が損なわれるだけでなく、生態系に影響がある他、生物濃縮によって私たちの健康を害する危険性をはらんでいます。生物濃縮とは、海洋全体と比較するとごく僅かな量の殺虫剤などに含まれる有害な化学物質が食物連鎖を繰り返すことで大型の魚や水鳥、クジラやイルカといった生物の体内に蓄積され高濃度になることです。全ての化学物質が蓄積される訳ではなく、海中に排出されるものや分解されるものもありますが、水銀やマイクロプラスチックなどは蓄積すると考えられています。そうした有害な化学物質を蓄積した海産物を食べてしまうことで人体にも影響が出るおそれがあります。
海洋汚染の種類―②プラスチックゴミ
海洋汚染の1つである海洋ゴミは、漁船などから捨てられる釣り糸などの他、私たちが普段の生活で排出するプラスチックゴミが原因です。海洋のプラスチックゴミのほとんどが、陸地から風で飛ばされ、川などから流れてくるものです。海や川でポイ捨てを防止するだけでは、海洋のプラスチックごみを減少させることができません。
また、現在日本で回収されたプラスチックゴミの大半は熱源として焼却利用される(サーマルリカバリー)ほか、資源として中国などのアジア各国に輸出されています。アジア各国に運ばれたプラスチックゴミは、低コストでリサイクルできるものは活用されますが、高コストのものについては廃棄処分されています。日本から直接的に海洋へ流出するゴミの量は相対的にそれほど多くありませんが、日本から新興国に輸出され、リサイクルされずに廃棄されるゴミの量は相当数であることが現状です。こうした事態が問題視され、有害廃棄物の国境を越えた移動を規制する「バーゼル条約」が締結され、2021年以降はプラスチックゴミの輸出ができなくなる見込みです。日本の環境省は国内の全てのプラスチックゴミを国内で処理できるよう準備を進めています。このように、経済合理性だけでは解決できない点が海洋ゴミ問題の難しいところです。
海洋汚染の種類―③富栄養化
富栄養化とは、下水や工業排水の流入などにより流れの少ない湖や河川、入江などの海の水質が悪化することです。赤潮やアオコの発生、魚介類の死滅の原因となります。富栄養化が進むことによって一時的にプランクトンが増加しますが、夜になると光合成の停止により水中が酸欠状態となり、プランクトンや魚類が死滅、ヘドロが堆積します。悪臭や有毒物質の発生にも繋がるため、生態系を崩さない水質を保つことが肝要となります。とくに新興国においては人口増加によりし尿などの生活排水が増加する一方、上下水道の整備が追いついておらず富栄養化による被害が深刻です。