【SDGs169のターゲット】13-3. 気候変動に関する教育、啓発、人的能力等の改善

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「13. 気候変動に具体的な対策を」に付随する5つのターゲットのうち、「13-3. 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。」について見ていきましょう。

気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育

現在、気候変動問題などの地球環境の危機は小学生の教科書に掲載される程の常識になっています。一方で、国内外を問わず気候変動問題、特に地球温暖化に懐疑的な方も一定数存在します。こうした気候変動問題や地球温暖化に懐疑的な方々は、「自分たちの暮らしを変えたくない」、「架空の問題に余計なお金が投入されている」と考えているようです。しかし、その主張を支える根拠や言説の多くは学術的とは言い難い状況です。こうした方々からも理解を得るため、日本をはじめ世界で正確な情報発信を行うサイトやQ&Aの掲載などが行われています。

起きつつある問題をないものとすることはできません。現在、世界各国で異常気象による災害が発生しています。これまでは異常気象が温暖化の影響か科学的に証明することが難しい状況でしたが、「イベント・アトリビューション」という手法が計算機の発展で可能になったことで、関連が証明されました。なお、日本国内における2018年度の猛暑についても、地球温暖化との関連が証明されています。また、気候変動による農作物の適地変化なども年々進んでいます。こうした進行する気候変動問題に対し、被害をできる限り小さくする取組みが「適応」です。これは例えば、雨量増加に伴う河川の洪水に備えた防災設計や防災訓練、栽培方法の変更などが該当します。

気候変動問題と関連する異常気象は、猛暑・森林火災・大雨・洪水・竜巻・台風・熱波・高潮など、私たちの命と直結します。自分たちの命を守るためにも、変化してしまった気候に適応を進めること、これ以上の変化を食い止めること、こうした取り組みの意義や重要性を教育により全世代に浸透させることがかつてないほど重要になっています。欧米では名門大学でサステナビリティやESGなどに関する領域を学ぶことができ、また学んだ人がシンクタンクやNGOに就職し活躍できる環境があります。日本国内では歴史が浅く、まだまだ理系の環境領域に限定されるなど一般的ではありませんが、こうした世界の潮流に目を向けることが真に求められているといえるでしょう。