【SDGs169のターゲット】13-2. 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「13. 気候変動に具体的な対策を」に付随する5つのターゲットのうち、「13-2. 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。」について見ていきましょう。
気候変動問題に対する国別の政策
気候変動対策の国際枠組みや各国の取り組みを話し合う場として、気候変動枠組条約締約国会議(COP)、京都議定書締約国会合(CMP)、パリ協定締約国会合(CMA)などがあります。2021年4月22日・23日にはアメリカのバイテン首相の呼びかけにより各国の首脳やリーダーが集う「気候変動サミット」が開催されました。
気候変動サミットでは、各国が削減目標を表明しました。日本は温暖化ガスの排出量を2030年度までに2013年度比で46%削減すると表明しています。具体的な施策として、たとえば、「2035年までに新車販売で電気自動車100%を実現する」といった戦略は、こうした目標を達成するためと考えられます。他国に目を転じますと、アメリカは2030年までに2005年比で温室効果ガスを50~52%削減、EUは2030年までに1990年比で55%削減、イギリスは2035年までに1990年比で78%削減。カナダは2030年までに2005年比で40~45%削減、中国は2030年にかけて石炭消費量の逓減などを表明しています。
このように、気候変動問題は世界全体の大きな問題ですが、現状では各国が国別に目標を立てて解決に向けて取り組んでいます。アメリカやEUなどは脱炭素の取り組みを経済成長と繋げようとしており、巨額の投資による産業の育成が予定されています。
カーボンプライシングの取り組み
気候変動対策を伴った産業支援は投資だけに止まりません。現在、脱炭素の取り組みを牽引する欧米や北欧諸国などでは「カーボンプライシング」と呼ばれる制度が実施されており、日本も追従しようとしています。カーボンプライシングとは、炭素に価格をつけてCO2を排出した企業や家庭に税金などの形で金銭的負担を求める仕組みのことです。現在、カーボンプライシングの主な仕組みは3つあります。「炭素税」、「排出量取引」「炭素国境調整措置」です。
「炭素税」とは、燃料や電気の使用量からCO2の排出量を求め、量に応じて課税する仕組みです。日本では2005年に導入が検討されましたが、すでに石油炭素税などの既存の環境に関する税金が高いことなどから経済界などが反対し見送られました。一方で、2012年からは化石燃料に対してCO2排出量に応じた税率を課し、集めた税金を再生可能エネルギーなどに投資する「地球温暖化対策のための税」が導入されています。現在でも炭素税については政界で検討されていますが、経済界からの強い反対もあります。
「排出量取引」とは、企業ごとに排出量の上限を決定し、上限を上回る企業が下回る企業から排出可能量の枠を売買する仕組みのことです。国際民間航空機関(ICAO)では、排出量取引が行われています。
「炭素国境調整措置」とは、各国のCO2規制の強弱の不公平を是正するための取組みです。例えば、A国のCO2の排出規制が弱い場合、相対的にA国におけるCO2排出にかかるコストが低い=CO2の価格が低いことになります。そうすると、企業が生産拠点をこぞってA国に移し、各国が製品を輸入することで、結果的にCO2排出量が減少するどころか増加してしまうことが想定されます。こうしたことを防ぐため、CO2の価格が低い国で製造された製品は価格差分を事業者が負担する、逆に価格が高い国で製造された製品には還付するといった取り組みが「炭素国境調整措置」です。現在、アメリカやEUで検討されています。