【SDGs169のターゲット】12-3. 生産・サプライチェーンにおける食料の損失の減少

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「12. つくる責任つかう責任」に付随する11個のターゲットのうち、「12-3. 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。」について見ていきましょう。
小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄
食べられるのに廃棄される食品のことを「食品ロス」といいます。世界には飢餓で食糧支援を受けている人々がいる一方で、食料支援で届けられる以上の食品が廃棄されています。
日本国内における食品ロスの量は、農林水産省によると2018年時点で年間約600万トンです。600万トンのうち、家庭から排出された量は276万トン、事業者から排出された量は324万トンでした。ただ、日本は「もったいない精神」や食品リサイクル法の施行から、食品ロスの問題の注目度が高く、廃棄量は経年で減少傾向にあります。それでもなお、国際機関による食料援助量の約2倍、東京ドーム約5個分の量が廃棄されている状況です。
世界の食品ロスの量は年間約13億トンです。生産された食料の約1/3を廃棄しているという説もあります。食品ロス発生量としては人口が多いことから、中国やアメリカが多くなっています。一人当たり食品ロス発生量では、貧困地域の約2倍の量を貧困ではない国の人々が廃棄しています。
収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失
食品ロスの原因は、小売店での売れ残りや飲食店での食べ残し、色や形などを理由に売られない規格外品や、家庭で賞味期限切れの食品を捨てることなどです。他にも、技術や需要の問題で収穫ができない、流通経路や保存環境が整っておらず腐ってしまうため廃棄する、といった理由もあります。
なかでも「収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失」とは、生産から消費者の食卓に上るまでの一連の流れの中で生じる食料の損失のことです。例えば収穫の時に傷がついてしまって廃棄したもの、運搬中につぶれてしまったもの、保存中にカビが生えてしまったものなどです。こうしたサプライチェーンの中での損失は、主に道路や設備の整っていない途上国で起こることが多くなっています。
世界全体で人口増加が続くなか、食料問題の重要性はますます高まっています。約半数を占める家庭における食品ロスの量を減らすためには、積み重ねの観点から、私たち一人ひとりの意識も非常に重要です。