【SDGs169のターゲット】12-2. 天然資源の持続可能な管理および効率的な利用の達成

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「12. つくる責任つかう責任」に付随する11個のターゲットのうち、「12-2. 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。」について見ていきましょう。

天然資源とはなにか

天然資源とは、人工的に作られていない資源のことで、生物的なものと非生物的なものに大別されます。生物的な天然資源とは、森林や動植物・海洋生物などの生命や生態系、石炭や石油などの化石燃料のことです。非生物的な天然資源とは、土地や空気、淡水や金や銅などの金属、レアアースなどのことを指します。再生可能で実質的に無限な資源と、再生不可能で有限な資源に分類することもあります。

天然資源の獲得は、雇用や経済成長と深く結びついており、その地に根差した一大産業をつくり出すことが珍しくありません。一方で、目先の利益を追求する急速な開発や過度な天然資源の採取が自然破壊に繋がり、結果的に資源を得ることができない環境をつくり出してしまうこともあります。よって、天然資源の販売側・購入側共にサステナビリティ(持続可能性)を考慮する必要性があります。また、限られた天然資源を使い捨てるのではなく、繰り返し利用する3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取組みも重要となります。

3Rの取組みを世界的に広げるため、OECDは2001年に「拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility、EPR)」のガイドラインを策定しました。拡大生産者責任(EPR)とは、使用済み製品の処理まで生産者が責任を負うべきという考え方です。拡大生産者責任(EPR)の考え方に基づくことで、製品の生産者に廃棄にかかる費用を低減するインセンティブが生じ、結果的に環境に優しい製品設計「エコロジカルデザイン」に移行することが意図されています。

ライフサイクルアセスメントとフットプリント

拡大生産者責任(EPR)やエコロジカルデザインを実現するための代表的な手法が「ライフサイクルアセスメント」です。ライフサイクルアセスメントとは、ある製品やサービスに必要な資源採掘から、原料の生産、製品の生産、運搬、消費、廃棄までの一連の流れ(ライフサイクル)において、各段階で環境負荷を計測する方法のことを指します。環境負荷は、二酸化炭素排出量や水の使用量など、様々な資源の使用量で計測されることが一般的です。

ライフサイクルアセスメントで計測したある製品にかかる環境負荷の総合結果は、「フットプリント」というかたちで表示されます。フットプリントとは「足跡」という意味で、人類が地球環境に残した足跡になぞらえています。ウォーター・フットプリントはある製品やサービスが廃棄・リサイクルされるまでに消費する水の総量、カーボン・フットプリントは排出する二酸化炭素の総量を指します。エコロジカル・フットプリントは、環境負荷を資源の再生産や廃棄物の処理・浄化に必要な面積で表した指標です。生活に必要な陸地・海洋が地球環境の容量を超えていないかという観点で使用されます。

国家単位で資源の消費量を見る際には、国内資源消費量(Domestic Material Consumption 、DMC)が一般的です。国内資源消費量は、建設などが盛んな国で高くなる傾向にあります。OECDによると、金属・建築資材・工業資材などの非金属鉱物・木材・食糧・化石燃料などの国内生産量から、輸入量を足し、輸出量を引いた一人当たりの国内資源消費量が多い国は、上から順に、カタール、チリ、オーストラリア、ウルグアイ、モンゴル、シンガポール、オマーン、フィンランド、ノルウェーでした。この上位10か国に、日本、中国、韓国、アメリカ、OECD平均を加えたグラフは以下のとおりです。

出所:OECDのデータに基づいてクラウドクレジット作