【SDGs169のターゲット】11-3. 包摂的かつ持続可能な都市化の促進

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「11. 住み続けられるまちづくりを」に付随する10個のターゲットのうち、「11-3. 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。」について見ていきましょう。

包摂的かつ持続可能な都市化

世界各地で近代化や工業化が進展する中、並行して都市化もかつてないほど急速に進んでいます。現在、世界人口に占める都市人口の割合は約50%にも上っています。特に発展途上国における農村から都市への人口移動が著しく、2050年にはアジアとアフリカの都市化が進むことで世界の約7割の人々が都市で生活するようになると予想されています。都市は、産業が集積することで生産性が高くなることが指摘されています。また、就労や所得、教育機会の面でメリットがあることから、どんどん都市には人口が流入します。一方で、この流入速度があまりに速すぎる場合、行政サービスなどのインフラ整備が整わず大きなデメリットが生じることになります。例えば、スラム街の形成や治安の悪化、渋滞による大気汚染、ごみ処理施設の不足、生活用水の不足などです。また、農村と都市の貧富の差が拡大することでさらなる問題が生じることもしばしばです。

日本国内に目を向けると、東京にさいたま市、千葉市、川崎市、相模原市、横浜市などを加えた東京大都市圏は、世界最大の都市とみなされています。現在、東京大都市圏を支える様々な制度やインフラ、仕組みを急速に都市化が進む途上国の国々に発信することが求められています。

人間居住計画・管理の能力

都市化を支えるためには数多くの課題を解消する必要があります。例えば、適切な都市開発を行うための都市計画が必要不可欠です。また、スラムなどの住宅問題、上下水道の整備、道路・地下鉄などの交通網の整備、廃棄物処理施設の整備、防災設備の設置、都市経済の安定などが求められます。こうした先行投資額の大きい諸々のインフラ整備を進めるためには、行政による管理能力の強化が欠かせません。発展途上国には賄賂の横行や法令や徴税方法の頻繁な変更等で行政の統治能力強化がうまく進んでいない国もあります。

こうした都市化に関する問題は、環境問題と直結しているため近隣の国、ひいては世界全体に影響を及ぼします。例えば、人口の多いインドや中国における持続可能な都市化は気候変動問題や大気汚染問題に大きな影響を与えます。よって、他人事とせずに私たち一人ひとりが関心を持つことが重要です。また、日本国内において東京大都市圏も完璧ではなく、高速道路や下水道などインフラの老朽化が指摘されています。このように、様々な課題から目を背けずに、地に足を着けた話し合いを重ねることが肝要です。