【SDGs169のターゲット】1-3. 貧困層および脆弱層に対し十分な保護を達成

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169のターゲットを定めています。今回は、「1. 貧困をなくそう」の7つのターゲットのうち、「1-3. 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。」について見ていきましょう。

社会保護制度(Social Protection)とは

社会保護制度とは、社会保障制度とほぼ同義で、病気や失業など私たちの生活を脅かす事態を防ぎ、貧困を削減して安心して生活できる人を増やすための社会的な制度のことです。例えば、雇用を促進する政策や各種社会保険(Social Insurance)、ホームレスや片親への現金給付、無償教育や雇用創出のための公共事業といった社会扶助(Social Assistance)が当てはまります。

日本の社会保護制度は、国民皆保険・皆年金を中心としています。国民皆保険とは、国民全員が公的医療保険に加入し誰もが保険医療を受けられる制度のことです。誰もが健康保険証を持っていて、少ない費用負担で病院に行くことのできる日本の制度は、世界から高く評価されています。一方で、高齢化により国や自治体が負担する医療費が増加していることが課題となっています。国民皆年金とは、20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金制度に加入する制度のことです。これにより老後にある程度の収入を保証しています。ただ、今後受け取れる年額が下がってしまう可能性が高いことや国民年金だけでは老後の生活資金を補うには不足することなどから、上乗せするかたちで私的年金に加入する方が増えています。

途上国における社会保護制度

社会保障や社会保護の概念や制度は、先進国で発達してきた歴史があります。よって、現状では多くの発展途上国においては未整備、あるいは整備されているものの必要な方たちに届いていません。世界銀行によると、サブサハラアフリカにおいては何の社会保護も届いていない方々が約80%を占めています。ラテンアメリカ・カリブにおいては約50%、東アジア・太平洋やヨーロッパ・中央アジアでは約40%の方々が社会保護から取り残されています。

途上国においては、社会保護が経済発展や貧困削減に向けて多くの役割を果たすと期待されています。また、公的機関による社会保護制度の整備や暮らしへの浸透と並行して、マイクロファイナンス機関などの民間企業による金融教育などの取組みなども非常に重要になります。